2009年8月25日火曜日

誰のためのデザイン? を読んで:ラブホテルの蛇口

誰のためのデザインを読んで、最近あったことを想起してみる。

良いデザインの定義として、

● 可視性
 - 装置の状態と、どんな行為を行うべきかが目に見える
● 良い概念モデル
 - 一貫的、かつ 整合的なシステムイメージを想起させるものがよい
● よい対応付け
 - 行為と結果、操作とその効果、システムと目に見えるものの間の対応関係
● フィードバック
 - 行為の結果に関するフィードバック


が必要といっている。

で、概念モデルは少し難しいので、よい対応付けの例をひとつ。
良い対応付けを行う際に、「アフォーダンス(記憶・知識から、思わずそうしてしまう)」「制約」が効果的という。制約とは、物理的・文化的・意味的・論理的の四つがあり、レゴの例が面白い。

■ オートバイと乗り手のおもちゃである、13部品からなるレゴは完成品を見ずとも、誰もが完成できる
 - 大きな突起は小さな穴に差し込めない、一定の向きしか取り付けられない等、物理的な制約によって
 - オートバイの乗り手は後ろ向きにはのらない、風よけの役目は乗り手の顔を風から守ることであるので乗り手の前にあるはず 等の状況や外界に関する知識に依存する、意味的な制約によって

 - 赤いライトは普通停止灯と決められているので、後部に、白色ライトはヘッドライトであるのが普通といった、文化的な制約によって

 - そして、残った部品がひとつで、はめられる場所もひとつなので、ここしかないといった、論理的制約によって


さて、ようやく本題。
この前行った、ラブホテルの蛇口。お湯を出すのに苦労してしまった。
というのも、円柱状の蛇口をひねるしかないと思うのだが、右のほうに(shower)、左のほうに(下からジャーって出る蛇口を端的に表す言葉)、正面に(stop)となっており、現在はstopが正面にある。

ああ、これをshowerのほうにひねるのかと思い、showerを正面にしてみる。

・・・・・・・が出ない。

あれ?もう一度、stopにしてみる。showerを正面にしてみる。あるいは左に回してみる 等を繰り返す。
んーー、もしや、これは「水が出る場所の切り替え」だけであって、水量の調整は他にあるのではないか・・・・?と気づく。
ボタンのようなものや、他にひねれるものを探すがない・・・・

俺は・・・・・何をやっているんだろう。仮にも考えることが仕事のコンサルなのに。。。。。。。。
一緒に来た子に聞くとあっさり、「右にたくさん回すだけだよ」とのこと。
ほう、つまり、showerを超えて、もっと右にまわすのだ。


これは、非常に悪いデザイン。
であれば、水が出るところに、「shower」と記述すればよいではないか。
showerにしても、何も変化がないとフィードバックもできない、すると、「場所の切り替えだけではないか」
という、概念モデルの変更までしてしまったではないか!!!

でも、さらに気づく。
こういうのにすぐ気づくヒトと気づかないヒトって何が違うんだろう。

固定観念?
思考のバリエーションが少ない?

いずれにせよ、コンサル失格?!




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