2009年8月13日木曜日

携帯電話事業のトレンド

■ 携帯電話に関わるビジネスドメイン(バリューチェーン)は、
端末 ⇒ ネットワーク ⇒ プラットフォーム ⇒ アプリケーション
と、一般的に定義される。

■ 日本の携帯市場が「ガラパゴス化」したと言われている所以
  
  - 携帯電話がまだ市場にないころ、端末メーカーは「どれくらいの資金を」「どのような機能に」掛けてよいか不安だった。
     ・ キョーセラにしろ、富士通にしろ、大手メーカーの一部門である以上、あまり先行投資できる資金力もない

  - したがって、「土管屋(つまり、電話網だけが資本)」であるDocomoをはじめとする携帯キャリア企業が、R&D機能を持ち、そして初回ロットを引き取り、在庫リスクも持った(なにより、品切れを恐れた)。それによって、新規市場の立ち上げを加速化することに成功した。

  - そのような背景から、キャリア主導の端末開発が進む。ビジネスドメイン(バリューチェーン)で言えば、「下流領域」を一部食っている状況。

  - 販売方法も、キャリア主導で決める。販売代理店からユーザーに渡るときの「機器代金」は割安にする販売方法である。(ソフトバンクが0円 とかやったやつ)
    ・ 事業経済性の観点から、ランニング型収益構造ビジネスであることは明白であったので、機器を安く売っても収益が出ると考えられたから
      - 通信費用を1ヶ月1万円として、5年間キャリアを替えないとすると60万円の買い物になる

    ・ また、固定費型ビジネス(ネットワークを引いてしまえば、あとはそれを利用する人数でほぼ収益が決まる)であるため、顧客数が重要であった

    ・ 事業ステージの観点から、競合に負けない新規顧客の囲い込みが非常に重要なビジネスであった
      - スイッチングコストが高い
    ・ 「無形」「高価」なものを販売するビジネス特性、かつ新規サービスであることから、初期費用を下げるのは消費者にとって心理的な意味でハードルを下げる

    ・ 加えて、客が客を呼ぶ「外部ネットワーク性」も重要であった

■ その構造が変遷する所以
    ・ 端末/プラットフォームで強みを持つ、iphoneが出てきた
       - ipodで培った「携帯物」に付与される明確なブランドイメージ
       - 洗練された使い勝手を持つ端末
       - オープンソースでのアプリ開発を可能とするプラットフォーム
         ・ 確かに、i-modeも「言語統一」「決済手段の確立」等、当時としては先進的なプラットフォームを作ったものの、オープン度合いがiphoneのほうが強い??(UNIXベース VS JAVA script)

    ・ 実際、iphoneが日本進出した際、softbankに「通信料の10%よこせ」といったくらい。結局、どういう契約形態になったかは不明だが、softbankは相当譲歩したのではないか
       - 言ってみれば、ビジネスドメインの「本丸」を攻め込まれた状態

 ・ Docomoも、プラットフォームで強みを持つグーグルと組む/アプリを自分で作る(携帯に文字が出るやつ)等、領域をさらに広げようとしている

    ・ そろそろ、日本の「垂直統合型」ビジネスが通用しなくなり、個々のビジネスドメインで強いプレイヤーによる「水平分業型」に移行する流れが続いている 
       - 端末に強いi phone、プラットフォームに強いgoogle 等 

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