2012年3月5日月曜日

武器としての決断思考を読んで

■ エキスパートではなくプロフェッショナルを目指す。
 -産業のスピードの変化が、従来とは比較にならないほど速くなってきており、エキスパートの価値は暴落する=何がおきるか分からない、正解がない
 -変化に対応できないこと自体が最大のリスク。
 -計画の時代からカードの時代に。
  ・時々に応じて、どのカードを切るべきかを考える


■ プロフェッショナルとは、以下の二つの条件を満たす
 - 専門的な知識・経験に加えて横断的な知識・経験を持っている
 - それらをもとに、相手のニーズにあったものを提供できる
  = 知識だけでなく、知識・判断・行動の全てをセットでこなすこと
  = 相手の立場にたって、相手の代わりに考えてあげること

■ プロフェッショナル・エキスパートの例示
 <例①>
 - エキスパート: 英文会計ができる人材
 - プロフェッショナル:たとえば海外支社は頑張っているのに本社がだめで、もうこれ以上お金は出せないといったときに、支社のバランスシートなどをもとに地元の銀行に掛け合ってお金の借り入れまでできる人材

 <例②>
 - エキスパート: 虫歯を治す
 - プロフェッショナル: 予防から治療、生活習慣の改善まで提案


■ ディベート思考とは?
 - 正解ではなく、今の最善解を出す
  ・日本人は、絶対に正しい意見を言わなければという思いが強すぎるのでは?

 - 議論の陥るわな
  ・慣れていることを重視してしまう
  ・限られた情報や枠組みで考えてしまう
  ・サンクコスト


■ テーマをシャープにする
 - 答えがでるものにする
  ・原発をどうするか、ではなく、原発を10年以内になくすべきか
  ・親の介護をどうするか ではなく、親の介護は子供が担うべきか
  ・結婚はいつしたらよいか ではなく、結婚は20代のうちにすべきか

 - 問題が大きすぎて漠然とする場合は、2つか3つに小分けにする
  ・サッカーの日本代表が活躍するためにすべきことであれば、監督・選手・協会の軸で3つくらいの問題に分ける

■ メリット・デメリットを述べる
 -メリットは、いかに分けて述べる
  A-1 問題があること
  A-2 その問題が重大であること
  A-3 問題がその行動によって解決すること

 -デメリットは、いかに分けて述べる
  B-1 論題の行動を取ったときに新しく生じる問題があること
  B-2 その問題が重大であること
  B-3 現状ではその問題はしょうじていないこと

■ 反論を考える
 -メリットへの反論
  A-1 問題なんてないのでは?
   ・論題の行動をとらなくても、問題は解決する
   ・そもそも現状に問題はない
  A-2 問題だとしても、たいした問題ではないのでは?
   ・質的
   ・量的
  A-3 重要だとしても、その方法では解決しないのでは?
   ・プランをとっても別の要因が生じるため、問題が解決しない
   ・プランは問題の原因を正しく解決しない

 -デメリットへの反論
  B-1 新しい問題は生じないのでは?
   ・プランだけではデメリット発生には至らない(他の条件が必要)
   ・プランの影響はデメリット発生にいたるには弱すぎる
  B-2 問題が生じたとしても、たいした問題ではないのでは?
   ・質的
   ・量的
  B-3 重要だとしても、すでにその問題は生じているのでは?
   ・プランを取っていない現状でも問題は起こっている
   ・プランを取らなくても、将来、同様の問題が起こる

■ 反論のための材料を集める
 -ウラを取るではなく、逆を取る
 -相手の主張の推論に目をむける
  ・主張:新卒で大企業に入れば人生安泰だ
  ・推論:倒産せず、長期間働き続けることができる会社に入ることで安心が得られる
  ・根拠:大企業は中小企業より倒産する可能性は低いから
 → 推論は、相手も無根拠に言ってることが多い。この場合なら、そもそも倒産しないとしても長期間働き続けるだけが安泰なんだっけ? は推論を付いた反論。

 -自分の頭と足を使って価値のある情報をつかむ
  ・ある大手ゲーム会社の人気ゲームソフトにバグが見つかって、返品騒動がおき、株価が30%落ちた。が、コールセンターに電話すると、コールセンター10人のなかの1人で対応できているくらいのごくわずかな可能性であることが分かる。新聞などが書き立てる「ブランドの崩壊」といった見出しとコールセンターで聞いた情報には大きな乖離がある。
※ 新聞は大きくかきたてるのが仕事。でもそれを信じて株を売り買いしちゃいけない。


■ 最後のメリット・デメリットの判定は、量×質×確率 で行う。最後の最後は主観。何の価値観に重きを置くか、は主観に過ぎない。

2012年3月4日日曜日

閉じこもるインターネット を読んで

■ インターネットに情報が溢れるようになったため、一人一人の興味にあわせ情報を取捨選択する「パーソナライズ」に注目が集まっている。フェイスブックもグーグルもヤフーもユーチューブも、戦略のメインに添えている。ユーザにメリットがあるだけでなく、広告のコンバージョンがあがるため広告主・メディアのWin-Winな関係。
 -グーグルは「ユーザが何をクリックしたか」でユーザが好きなもの/嫌いなものを推測する
  ・同じものを検索しても違う結果が出てくる
 -フェイスブックは「ユーザが何を公開し、誰とやり取りしたか」でユーザが好きなもの/嫌いなものを推測する
  ・「仲のよい人の」「重要なコンテンツの(交際ステータスの更新 等)」「直近の」情報を重きを置いている(=全ての情報がフィードされるわけではない)

■ まさに、ローデータと自分の間に横たわる「メディア」

■ 昔から自分の興味にあわせてメディアを選択してきたものの、フィルターバブルは今までにない特徴がある。
 -「一人ずつ」に孤立する
  ・どんなにマニアックな雑誌でも他にそれを読んでる読者はいたはず
 -「見えない」
  ・ニューヨークタイムズは「見たくないけど、みなければいけないニュースが一面にあったりして」少なくとも、あることは意識していた
 -「何故、このような状況なのか理解できない、コントロールできない」
 -「必要と選んだわけではない」


■ パーソナライズには弊害がある。
・過剰適合、自分ループ(ちょっとのキッカケからどんどん偏っていく、形作られていく)

 -Google的な弊害
  ・ゲイだと親にさえカミングアウトしていないティーンエージャーが、パーソナライズされたグーグルのニュースのフィードから様々なゲイコミュニティの記事を手に入れ、自分はおかしくないんだと安心できる。同時にクリックから自分が構築されると条件反射的につい見てしまうものへの偏ってしまいがち。

  ・オンラインショップでランニングシューズをチェックしたら、そのスニーカーの入った広告をいたるところで見ることになる。で、買ったら買ったで、その情報がオークションで売られ、その情報を買ったスポーツ衣料メーカーの広告(ソックスなど)を見ることになる

  ・信用情報を修復する101の方法を買うと、いつの間にかその情報が他社に売られ、与信枠の小さなクレジットカードしか作れなくなる

 -Facebook的な弊害
  ・何を公開し、誰とやり取りしたかでアデンティティが築かれる。公の自分が前面にでるぶん、プライベートな興味関心の余地が少なくなる。どんどん本当の自分と乖離する
  ・自分の意見の正当性を補強する意見ばかり集まってくる。視野狭窄。

→アルゴリズムによる帰納法は情報決定論に繋がる。過去のクリック履歴が未来を完全に規定してしまう。



・創造性の阻害(セレンディピティ)
 -考えもしなかったこととの遭遇、想像できないことの遭遇、理解できないことなど、とても楽しめないこととの遭遇をフィルターは隠してしまう。パーソナライズされた環境は、自分が抱いている疑問の解答を探すのには便利だが、視野にも入っていない疑問や課題を提示してくれない。パブロ・ピカソのいう、「コンピュータは役立たずだ。答えしか与えてくれない」創造性とは異縁連想である。昔からそこに存在していたが、ただ習慣というまばたきにさえぎられて見えなかったものに気づいたことが発見。

 -理解しにくい話を読んだ後のほうが、数字の並びからあるパターンを見つけるような課題に対しての正解率が良かった

■ どうすれば良いか?

・好きなものをより正確にする
 -時々、「これ嫌いだよね?」の反証を入れる。

・嫌いなものでも見る(創造性の欠如を補う)
 -フィルターの効果と個人情報の使い方が見え、それをユーザがコントロールできるサイトを選ぶことが必要 → FBよりツイッター
 -パーソナリゼーションに不規則性を与える。短期的にはコンバージョンが減るものの、抱える問題の大きさが知られれば、このアルゴリズムのほうが支持されることはある
 -重要だね!ボタンを置く。
 -フィルターの項目を「私が好きな内容だけ」から「わたしはおそらく嫌いだが、他の人たちは好きな内容」に変える