2012年3月4日日曜日

閉じこもるインターネット を読んで

■ インターネットに情報が溢れるようになったため、一人一人の興味にあわせ情報を取捨選択する「パーソナライズ」に注目が集まっている。フェイスブックもグーグルもヤフーもユーチューブも、戦略のメインに添えている。ユーザにメリットがあるだけでなく、広告のコンバージョンがあがるため広告主・メディアのWin-Winな関係。
 -グーグルは「ユーザが何をクリックしたか」でユーザが好きなもの/嫌いなものを推測する
  ・同じものを検索しても違う結果が出てくる
 -フェイスブックは「ユーザが何を公開し、誰とやり取りしたか」でユーザが好きなもの/嫌いなものを推測する
  ・「仲のよい人の」「重要なコンテンツの(交際ステータスの更新 等)」「直近の」情報を重きを置いている(=全ての情報がフィードされるわけではない)

■ まさに、ローデータと自分の間に横たわる「メディア」

■ 昔から自分の興味にあわせてメディアを選択してきたものの、フィルターバブルは今までにない特徴がある。
 -「一人ずつ」に孤立する
  ・どんなにマニアックな雑誌でも他にそれを読んでる読者はいたはず
 -「見えない」
  ・ニューヨークタイムズは「見たくないけど、みなければいけないニュースが一面にあったりして」少なくとも、あることは意識していた
 -「何故、このような状況なのか理解できない、コントロールできない」
 -「必要と選んだわけではない」


■ パーソナライズには弊害がある。
・過剰適合、自分ループ(ちょっとのキッカケからどんどん偏っていく、形作られていく)

 -Google的な弊害
  ・ゲイだと親にさえカミングアウトしていないティーンエージャーが、パーソナライズされたグーグルのニュースのフィードから様々なゲイコミュニティの記事を手に入れ、自分はおかしくないんだと安心できる。同時にクリックから自分が構築されると条件反射的につい見てしまうものへの偏ってしまいがち。

  ・オンラインショップでランニングシューズをチェックしたら、そのスニーカーの入った広告をいたるところで見ることになる。で、買ったら買ったで、その情報がオークションで売られ、その情報を買ったスポーツ衣料メーカーの広告(ソックスなど)を見ることになる

  ・信用情報を修復する101の方法を買うと、いつの間にかその情報が他社に売られ、与信枠の小さなクレジットカードしか作れなくなる

 -Facebook的な弊害
  ・何を公開し、誰とやり取りしたかでアデンティティが築かれる。公の自分が前面にでるぶん、プライベートな興味関心の余地が少なくなる。どんどん本当の自分と乖離する
  ・自分の意見の正当性を補強する意見ばかり集まってくる。視野狭窄。

→アルゴリズムによる帰納法は情報決定論に繋がる。過去のクリック履歴が未来を完全に規定してしまう。



・創造性の阻害(セレンディピティ)
 -考えもしなかったこととの遭遇、想像できないことの遭遇、理解できないことなど、とても楽しめないこととの遭遇をフィルターは隠してしまう。パーソナライズされた環境は、自分が抱いている疑問の解答を探すのには便利だが、視野にも入っていない疑問や課題を提示してくれない。パブロ・ピカソのいう、「コンピュータは役立たずだ。答えしか与えてくれない」創造性とは異縁連想である。昔からそこに存在していたが、ただ習慣というまばたきにさえぎられて見えなかったものに気づいたことが発見。

 -理解しにくい話を読んだ後のほうが、数字の並びからあるパターンを見つけるような課題に対しての正解率が良かった

■ どうすれば良いか?

・好きなものをより正確にする
 -時々、「これ嫌いだよね?」の反証を入れる。

・嫌いなものでも見る(創造性の欠如を補う)
 -フィルターの効果と個人情報の使い方が見え、それをユーザがコントロールできるサイトを選ぶことが必要 → FBよりツイッター
 -パーソナリゼーションに不規則性を与える。短期的にはコンバージョンが減るものの、抱える問題の大きさが知られれば、このアルゴリズムのほうが支持されることはある
 -重要だね!ボタンを置く。
 -フィルターの項目を「私が好きな内容だけ」から「わたしはおそらく嫌いだが、他の人たちは好きな内容」に変える

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